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石器づくり

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石器づくりの難しいところは、
やり直しがきかないところ。
石器づくりは、決して原石の大きさより
大きな石器をつくることはできない。
これらが土器づくりと大きく異なるところ。
また、同じ石器づくりでも趣味や遊びでつくるのと
学術的な復元製作とでは、これまた大きく異なる。
復元製作の目指すところは、見事な石器ではなく、
製作過程や製作動作の復元にある。
自分の石器づくりは、もちろん遊び、
ものづくりの楽しみの一つに過ぎないが、
こだわっているのが実用性。遊びとは言え石器は刃物、
刃物は、切れなくては、使えなくては意味がない。


打ち初め

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今年の打ち初めは昨日、打製石器なので打ち初め。
雪の所山工房へスキーで向かう。
幸い今年の道路は、大雪にもかかわらず途中まで除雪済み、
スキーは取付道路から工房の間、約700m。
早速、工房脇の雪の山から黒曜石を掘り出して石器づくり。
今年初めてと言っても、所山工房では久しぶりの石器づくり、
いつもなら、焚き火用の大きな炉の中に割るところだが、
炉は、すっかり雪の下、取りあえずその雪の窪みへ。
後は鏡開き、できた石器でお供え餅をカットするつもり。
ここで唐突にご紹介、
昨年暮れに出たmono特別編集「刃物大全」、
序章に石器ナイフ、中にナイフマガジンに掲載された
石器ナイフのつくり方の一部が再掲されている。



パーライト

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黒曜石は天然のガラス、ところが、
熱しても人工のガラスのように溶けることはない。
黒曜石を、1000度近くの温度で加熱すると発泡する。
発泡と言っても、泡がぶくぶくという感じではなく、
灰色の目の細かい軽石のような状態になる。
指でつまむと簡単に潰れ、砂粒のようになる。
この現象は工業的に利用され、パーライトという製品が作られ、
建設資材や園芸材料に利用されている。
最近では、その多孔質の素材を活かして油の吸着材が作られている。
また、変わったところでは、水質改良材として使われている。
発泡の実験は、七輪の炭火で簡単にできる。
残念ながら矢尻を熱しても、藁の縄の灰のようには行かない。
最近、知ったことだが、コークスを使用すると溶けるようだ。

黒曜石

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町内には黒曜石の原産地が二ヶ所ある。
溶岩の噴出時代は違うらしいが、
一つの沢を挟んだ両隣というところが面白い。
沢の西側が所山、透明感のある黒曜石が特徴、
沢の東側が置戸山、白い小さな球顆を含むのが特徴。
両方に共通するのが、灰色の縞模様。
黒曜石は、石器に最適な材料だが、
その材質は、同じ黒曜石でも原産地によって様々。
これまで、国内の有名どころの黒曜石すべてを
試してみたが、置戸所山産の黒曜石が一番。
黒曜石の、その材質の善し悪しは、
細石刃をつくってみると良く分かる。
硬質で均質なものが最適。

打面調整具

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石器をつくるには材料と道具が必要。
材料は言うまでもなく黒曜石、道具はハンマー、
石と鹿角のハンマー、このほか、
手を保護する当て皮、押圧具があれば良い。
ほとんどの作業は、鹿角ハンマー1本で間に合うが、
意外と知られていないのが、打面調整の道具。
打撃は打面上の点に対して行われるが、
その打面あるいは打点を用意するための道具が、打面調整具。
多くは、扁平な小石を用いるが、
自分の場合は、小さな石のハンマーを代用している。
また、エッジ付近などは、鹿角のハンマーで行っている。
石器づくりにとって、欠くことのできない打面調整具、
残念ながら、見落とされている。

押圧技法

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黒曜石の石器は、黒曜石を打ち割ってつくる、
この当たり前のことが、意外と知られていない。
石を打ち割ってつくるので、打製石器と呼ばれているが、
出来上がった石器からは、連想できないらしい。
割ってつくったものとは知らない人は、
例外なく削ってつくったものと思っている。
確かに石器の表面を見て、すぐに分かるとは思えない。
また、厳密に言えば、叩いただけではない割れがある。
打製の一つの技法とされているが、
叩かずに押しつけて割る方法がある。
専門家でも、その剥離面の違いを見分けることは
困難だと思うが、押しても叩いても石は割れる。
いつも思うこと、この押圧技法の発見者は何処の誰。







干し肉

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鹿肉の干し肉づくり。
干し肉は、スライスした肉に軽く塩をして天日で乾かすだけ。
肉は新鮮でなければダメ、今の時期は、
さしずめ寒干し肉といったところ。
肉は、干からびて元の大きさの半分以下になる。
結果、市販のジャーキーには遠く及ばない。
食べる時は、原始的に石でほぐしながら食べる。
残念ながら、そんなに美味しいものではない。
そこで、途中でサクラの煙で燻してみる。
干物の燻製、しないより増しといった程度。
今度は、これを煮て戻して食べてみる。
柔らかくなったところで、ほんの少しの塩コショウ、
これでようやく、まともな食べ物。

適材

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黒曜石の材質は千差万別、
どれ一つとして同じ感じがしない。
一見、同じ産地の黒曜石の表面は、同じように見える。
たとえ多少違ったように見えても、成分構成は同じだと言う。
転礫の場合、まったく同じものは無い、
形が違う、重さが違う、そして、割った感じが違う。
黒曜石を割って言えることは、硬いものほど狙いどおりに割れる。
つまり、形の良い石器がつくれる。
実際に使用する際も、硬い方が切れ味が良い。
特に細石刃の製作には、硬く良質な黒曜石が無くてはならない。
黒曜石の大産地、北海道白滝から出土の石器に、
花十勝や梨肌の黒曜石でつくられた石器が少ないのは、
やはり、適材ではなかったためだろう。


フェルト

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シラカバの樹皮のシースに飽きて、フェルトでシースづくり。
最近、よくフェルト細工を目にする、
原毛の調達は多くは地元、草木染めも流行りらしい。
フェルトは、実に簡単につくることができる。
材料は、原毛と石鹸だけ、
原毛を重ね石鹸液を浸し、ひたすら撫で回すだけ。
これだけで、重ね合わせた原毛が密着しフェルトになる。
後は石鹸を洗い流し、乾かせばフェルトの出来上がり。
シースは、これを二つ折りにし合わせた縁を紐で綴じるだけ。
今回は、この紐も同じ原毛でつくった。
手製の原始的なスピンドルで縒りをかけ、太い毛糸をつくった。
根付けには熊の爪、もちろん紐はこの毛糸。
シラカバの樹皮も良いが、フェルトもまた良い。

置戸安住

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道立北方民族博物館 企画展「アイヌ語地名を歩く」
-山田秀三の地名研究から-2013・冬 網走/オホーツク
が4月7日まで同博物館で開催されている。
その企画展パンフレットから
"明治30年5万分図では、置戸の少し上流にオンネアンジ、
ポンオンネアンジの二川が並流して常呂川に注いでいる。(中略)
[オンネアンジは]大・黒曜石(川)の意である。
黒曜石はアンチ(anchi、anji)と呼ばれた。(中略)
限られた処にしかない石なので、その産地にこの名が残ったのであろう。(中略)
この辺りの土地を安住という。アンズに安住の字を当てて、
それを「あずみ」と読ませるようにしたものではなかろうか。
(『北海道の地名』1984年)"
違うと思う。

オリーブ油

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流木のハンドルはオイル仕上げ。
そのオイルは植物油、初めはクルミ油を使っていた。
クルミの殻を割り、中から実を取り出し、
布に包んで押し潰し、染み出た油を擦り込んでいた。
でも、これがいちいち面倒で市販の各種植物油を試していた。
中でも一番の好みがオリーブ油、
べとつきが無く香りも良く、扱いやすかった。
木部専用の油に、亜麻仁油や桐油などがあるが、
やはり、臭いが今ひとつ、さらに乾燥も遅い。
いろいろ試してみて、今は蜜蝋ワックスに落ち着いた。
ただ、蜜蝋ワックスと言っても、ワックス状では無く、
蜜蝋入りオリーブ油と言ったところ。
この方が、断然仕上がりが良い。

花十勝

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白滝特産の黒曜石、花十勝でつくった矢尻、
メノウや水晶の矢尻より綺麗かもしれない。
花十勝にも色々あるが、黒に真紅が最も美しい。
ただ、割ってみると意外に粘りが無い、ぺかぺかと割れる感じ。
そう言えば、この花十勝をつかった本物の矢尻はめったに無い。
やはり、適材ではなかったためだろう。
花十勝が白滝だけに産出かというと、そうでもない。
置戸でも十勝三股でも、赤や朱の混じる黒曜石は産出する。
特に十勝三股からは、この真紅の花十勝に瓜二つの黒曜石が産出する。
町内二つの原産地からは、それぞれの花十勝が産出する。
花十勝の赤い色は、鉄分が反応した色らしいが、
真紅から赤茶色まで、様々な赤はどうできるのだろうか。
ちなみに置戸所山産は、ワインレッド。

作業姿勢

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鋸や鉋の使い方が、西洋と東洋ではまるで逆。
西洋は押して使う、東洋では引いて使う。
この使い方の違いは、作業姿勢によるという説がある。
立ってするのが西洋、座ってするのが東洋、
この座業のために引いて使う使い方になったと言う。
座業の利点に足が使えることがあげられる。
工作物を足で支えることができる。
石器づくりも、最初は座業だったと思っている。
押圧具の使い方も二通り。
一つは、押圧具を手前に引くように押しつける方法と、
もう一つは、向こう側に突くように押しつける方法。
座業と立業の違いと言えなくもない。

原石ありき

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ものづくりは、最初にイメージ或いはデザインありきだが、
こと石器づくりに関しては、必ずしもそうとはならない。
なぜなら、原石の大きさより大きな石器はつくれないから。
石器づくりの原則は、最初に原石ありき、
原石からイメージせざるを得ない。
ただし、制約される大きさは、あくまで最大全長のところ、
巾や奥行きは、欠片の数だけある。
石器の分類に剥片石器と礫石器の二通りがあるが、
つくる側から言わせると、この分類に意味はない。
剥片といっても、あくまで礫の一部分に過ぎない。
見た目の分類なら、剥片状石器とか
礫状石器の方が良さそうなものだが、
両面加工の石器など判別のしようがない。


天然ガラス

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黒曜石は天然のガラス、従って黒曜石製の石器は
世界最古のガラス製品とも言える。
最近は、ほとんどつくっていないが、
以前は板ガラスを使って長いブレードをつくっていた。
厚さ10mm位の展示台用の板ガラスが最適だった。
板ガラスは「ガラス切り」で傷をつけるだけで簡単に割ることができる。
けがいた線をめがけ、裏から軽く叩くと割れる。
同様に黒曜石の剥片で試したところ、板ガラスと同じように割れた。
黒曜石もガラス、当たり前かもしれないが、
黒曜石が割れるのは、割れ円錐の原理のはず、
線のとおり割れる原理が分からない。
確か、フリント銃の四角い火打ち石をつくるとき、
この二通りの割れ方を一緒にした割り方に近い。


所山産黒曜石

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町内墓地の沢の黒曜石の噴出源は、所山と言われているが、
実際には置戸山産の黒曜石も流入している。
墓地の沢は、所山と置戸山の谷間を流れる川、
それぞれの山を水源とする支流が何本か流れ込む。
沢の本流が所山側に寄り、対岸の置戸山側には道路が走る。
置戸山の支流の合流地点では、当然だが置戸山産の黒曜石が多い。
結果、墓地の沢には、両方の黒曜石が流入している。
墓地の沢から西に約2kmに、置戸安住遺跡がある。
遺跡の直ぐ側を流れるオンネアンズ川、
オンネアンズとはアイヌ語で大なる黒曜石のこと。
M大学の研究報告に、置戸安住遺跡出土の石器に
使われている黒曜石は、全て所山産黒曜石だという。
疑うつもりは無いが、信じるつもりもない。

サケ皮

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サケ皮でシースづくり。
黒曜石のナイフでさばいたオホーツク海産のサケ、
背開きにした身から皮を剥ぐ。
皮はベニヤ板に張り付け乾かす。
前回の反省では、この後燻煙することにしていたが、
魚の生臭さは、我慢することに。
乾いた皮は薄いので、背開きを元に戻して縦に二つ折り。
合わせた縁を綴じればシースの出来上がり。
後は、熊の爪を根付け代わりにぶら下げる。
肝心の黒曜石のナイフは、サケの姿に似せ、
ハンドルは尾びれのイメージに。
サケ皮のシース、色や形は悪くはないが、
やはり、臭いが鼻につく。

氷の石器

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この冬も氷の石器づくり。
厳寒の川の氷はガラスに似て、割れると貝殻状痕が表れる。
と言うことは、石器がつくれると言うこと。
何度か試してみたが小さな矢尻は無理、逆に大きな尖頭器も難しい。
出来るのは、中くらいの尖頭器ぐらい。
でも、両面加工の石器は、まぐれに近い最高の出来、
大半は、チョッパー止まり。
材料は硬くて透明な氷の平たい部分、乳白色の氷は柔らか過ぎ。
ハンマーは鹿角ハンマー、石のハンマーは不適。
氷の特徴として、薄く長い剥離はまず出来ない。
ほとんどが鈍角の割れ、従って分厚い石器しか出来ない。
氷の石器づくりは真冬日に限る、気温が高いと上手く割れない。
氷のナイフはスリラー用の凶器。

黒曜石

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通常、岩石の名前には「岩」が用いられる。
黒曜石も本来なら黒曜岩、
実際、地質関係の文献には黒曜岩と記されることが多い。
でも、一般には何故か岩でなく石、黒曜石。
大きな黒曜石に、気がつかなかったのだろうか、
確かに今では、岩のような黒曜石を目にすることは滅多に無いが。
両手でなければ持てないような「大きな黒曜石」は、
道内どこの原産地でも、まず採取できない。
ただ、国内有数の黒曜石原産地の北海道白滝、
その埋蔵量は数十億トンと言われ、文字通り黒曜岩の山。
大きな黒曜石は、白滝にはいくらでもあるが、
ジオパーク構想により加工から保全へシフト。
無尽蔵なら、加工の道を残しても良いのに。

置戸神社

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長いこと置戸安住遺跡周辺で表採を続けている。
表採した石器や製作屑(破片)の量は半端では無い、
もう家の周りには、置くスペースが無くなった。
町内の表採の大先輩が、元置戸神社宮司の藤川尚位氏、
かの松平義人氏と置戸安住遺跡の案内役をつとめた人物。
また、置戸安住遺跡から出土の白滝型細石核の擦痕を、
今では定説の、押圧時のスリップ防止加工と解明した市井の考古学者でもある。
氏の収集した資料の大半は没後、町の郷土資料館に寄贈されたが、
資料の一部は、昨年、藤川コレクションとして町の文化財に指定された。
長さ30cmを超える数本のブレード剥離痕を持つ
巨大な黒曜石のコアは、おそらく国内最大。
置戸神社、社務所前の土手には、人頭大の黒曜石のコアが十数個、
無造作に置かれている。

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