ハンドル材
久しぶりにエゾ鹿の角でハンドルをつくった。 落角で少し風化、角先はネズミにかじられている。 ハンドルには、握って丁度良い太さのところを使う、 なんたって握り具合が一番肝心。 ハンドルの長さは、いくら適当につくってもなぜか ほとんど同じ長さに仕上がるから不思議。 握った手が、勝手に長さを決めている。 見た目バランスは良くないが、ハンドルの長さは ブレードの長さには関係無し、あくまで手との関係。...
View Article石器石材
置戸安住遺跡は黒曜石原産地遺跡、 この遺跡から出土の黒曜石以外の石材でつくられた石器、 その石材の産地解明は、全く手つかず。 黒曜石原産地で、わざわざ黒曜石以外の石材、どうして。 安山岩やチャートは、遺跡のすぐ側の沢から産出する。多分この石。 珪質頁岩やメノウなどは、近隣の町から産出する。もしかしてこの石。 いい加減な推測だが、重い原石を遠くから運び込むとは考え難い。...
View Articleハンドル
尖頭器と呼ばれる木の葉型の石器、 この石器には、柄が着いていたと思っている。 出土の石器に柄の着いているものは、まず無いが、 石器の用途は、槍や銛、ナイフ等ほとんどが刃物。 刃物は柄が着いていて初めて、道具として成立する。 柄の目的は、手の安全確保だと思われているが、 これも一つの目的には違いないが、 本当のところは、切削力、突刺力の強化、 いわゆるテコの原理を応用している。...
View Article四大産地
夏休み、黒曜石原産地探訪の旅はいかが。 道内では黒曜石のことを十勝石と呼び、 白滝、置戸、十勝三股、赤井川が四大産地。 埋蔵量全国一の紋別郡遠軽町白滝の黒曜石は、 紅色の混じる黒曜石「花十勝」が有名。 常呂郡置戸町の黒曜石は、常呂川源流産、 流域の遺跡群に良質の黒曜石を供給していた。 置戸町の隣町、上士幌町十勝三股は小形な礫が中心、 一般的には十勝三股でなく十勝と誤って呼ばれている。...
View Article立業
今つくっている石器は、ほとんど立ったままつくっている。 面白いことに石器づくりは、全国的に椅子に腰掛けてつくる座業、 それも、ほとんどが太ももの上で行われている。 この座業のルーツは、どうやらフランスの学者の手本らしい。 立ったままでつくると言うことは、太ももを使わないと言うこと。 立業の場合、太ももの代わりは掌、この掌がクッション台。 これまで出会った現代のつくり手たちは、すべて「太もも系」、...
View Article体験学習
積極的に応えてはいないが、 石器づくりの体験学習、ときどき講師に声がかかる。 講師依頼は、なぜか中学校が多い、教科のせいかも。 中学生は、年齢的には問題はないが、 はっきり言って、初心者に石器づくりは無理、 せいぜい欠片づくりまで。 さらに問題は、黒曜石原石の調達、 初心者用には、小さなものより大きなものが望ましいが、 ただでさえ貴重な、大きな礫を訳も分からず、 粉々にしてしまうわけにはいかない。...
View Articleオンアンズ
置戸安住遺跡のすぐ側を流れるオンネアンズ川。 この川は、まるで魚道の見本市、 5ヶ所の砂防堰すべてに異なる方式の魚道。 遡る魚も、かえって混乱するのでは。 オンネアンズとはアイヌ語で、大いなる黒曜石の意、 ほかに大・黒曜石という解釈もある。 ただ、川底の黒曜石転石は、ほんの少し、 所山の源流付近で、ようやくそれなり。 大昔のことは知らないが、もしかして大量の黒曜石が 流出していたのかもしれない。...
View Article未完成品
石器づくり何をもって完成品とするか、これは非常に曖昧。 例えば尖頭器をつくる場合、 最後の一打の決定は、非常に漠然としている。 これが最後と意識的に叩くことは、まず無い。 やっと仕上げたという達成感も無い。 つまるところ完成とは、未完成の 最後のところを言うのではないだろうか。 これまでつくった石器を見直せば、 必ず一つや二つの失敗の跡が見つかる。 これだって、やり直せば直したで、...
View Article樹皮のシース
シラカバの樹皮で黒曜石のナイフのシースをつくる。 旧石器遺跡からシースが出土したという話しは聞いたことがないが、 石器を携帯する場合、シースは無いよりあった方がいい、 おそらく、なんらかの保護具があったはず。 シースの材料は、ブレードがカバーできれば何でも良いが、 見た目には、ハンドルとの相性が大切。 黒曜石のナイフのハンドルは流木、 やはり自然素材のシースが良く似合う。...
View Article石器の用途
石器づくりの限界、それは、つくっても使う機会がほとんど無いこと。 本来道具とは使う目的があってつくられるもの、 その材料も形も用途に合わせて決まるもの。 今つくっている黒曜石のナイフは、 残念ながら使う必要性のないところから、つくり始めている。 材料も形も旧石器時代のコピーに過ぎない。 いくらオリジナルと言い訳してみたところで、肉や魚しか切れない。...
View Article石器づくり
黒曜石原産地の山で石器づくり、 以前なら、全く考えられなかったこと。 黒曜石原産地の山では石器づくりを控えている。 もちろん遺跡周辺での石器づくりも避けている。 原石を前に石を割ることを我慢するなんて、 目の前の黒曜石で石器がつくれないなんて。 それもこれも、石器の本物、偽物の判定が難しいから。 石を割ることは猿でも出来るが、 猿が割ったものとは、誰も証明できない。...
View Article第三の道具
石器づくりの道具は実にシンプル、ただの丸い石に鹿の角。 ただし、手を怪我したくなければ当て皮もあれば。 遺跡から、これらハンマーの出土が少ないのはなぜだろう。 石器に対してごく僅かのハンマー、それも石のハンマーだけ。 腐って遺らない鹿角のハンマーの方が多かったのだろうか。 博物館で敲石と称して棒状や球状の石が展示されているが、 どこまで検証されたものなのか、...
View Article黒曜石のナイフ
実用を目指している割りには、つくり過ぎの感。 ナイフなんて、普段使うには1、2本あれば充分。 自作の黒曜石のナイフ、これまで600本以上はつくっている。 一時期1000本製作の目標を立てたことがあるが、 三日坊主、今は本数に拘りはない。 つくったナイフは、少し使ったらすぐに仕舞い込んで ホームページ(現在は廃止)以外、人に見せることはめったにない。...
View Article黒曜石の石器
ふと思い浮かんだ素朴な疑問、 国内で最初につくられた黒曜石の石器は、 何処の産地の黒曜石なんだろう。 国内には数多くの黒曜石の原産地があるが、 大産地と呼ばれるところは限られている。 石器の年代測定には様々な方法があるが、いずれも万年単位の誤差。 以前、火成岩の年代測定は困難と聞いたことがあるが、 その黒曜石の年代測定は、どこまで進んでいるのだろうか。 国内最古の石器は、捏造事件があったものの、...
View Article押圧具
打製石器のつくり方の一つに押圧技法。 押圧がなぜ打製なのか訳が分からない、 加圧と言ったほうが、まだ増しかも知れない。 押圧は、仕上げ加工には欠かせない、 そしてまた、細石刃の剥離も押圧には適わない。 押圧に使用する道具を、取りあえず押圧具と呼ぶ。 押圧具は、一般的には鹿の角先でつくるが、 そのまま用いるものと、柄の先に差し込んで用いるものがある。...
View Article固定具
町内で発掘調査中のS大学、 その学生を相手に、石器づくりのデモ。 井の中の蛙にとっては貴重な機会、 今年は、特に細石刃づくりを見てもらう。 細石刃の剥離は、あらかじめ円錐形の石核を用意、 そして、石核の固定は自分で考案した木製の固定具、 写真で紹介できないのは残念だが、我ながら傑作。 長さ30cm弱の厚板の両サイドにストッパー、 中央付近に約2cmの間をあけて二本の丸棒を立てる。...
View Article安山岩
石器の三大石材の一つ安山岩、 有名なのは讃岐石、別名サヌカイト。 道内には道南に頁岩、道東に黒曜石の大きな産地があるが、 道内に安山岩の産地と言われるところは、いまだ聞いたことがない。 ただ、安山岩は道内各地に広く分布し、珍しい岩石ではない。 町内でも河川敷に行けば、その辺りにごろごろしている。 安山岩も正確には、ガラス質安山岩のこと、 割れ円錐が出来るものでなければ、使いものにならない。...
View Article細石刃の矢尻
細石刃の槍や銛、ナイフがあるなら、 細石刃の矢尻があってもおかしくはない。 と言うことで細石刃の矢尻をつくる。 せっかくなので、普通の矢尻、いわゆる二枚刃の矢尻でなく 三枚刃、四枚刃の金属製の矢尻を模して。 矢尻の本体は、木を三角錐、四角錐に削り出し、 それぞれの峰に溝を掘り、細石刃を並べる。 肝心の細石刃は極細タイプ、このため、剥離用の細石核は ごく小さな砲弾形の細石核、押圧で適当に剥離する。...
View Articleナガサ
マタギの使うナイフが「ナガサ」、 語源は知らないが、その刃渡りはごく普通のナガサ。 狩猟用の万能ナイフといったもので、 形は、直線的な切っ先を持つ片刃の鉈の様。 この切っ先で、スキニングには使いづらそう。 ナガサのなかに、袋ナガサと呼ばれる柄と一体形のものがある。 柄は中空になっていて、長い棒を差し込むと槍になるという優れもの。 熊などに出会ったときなど、ナイフが槍になるとは心強い。...
View Article石のナイフ
石のナイフが鉄のナイフより優れているところは、 鉄のように錆びないこと。 数万年前につくられた石のナイフが、 つくられた当時のまま出土するのに対し、 鉄のナイフは、年が経つと錆びてボロボロ、原型を留めない。 石のナイフの優れているところ、もう一つは、 エッジに動物の脂肪が付着し難いところ。 動物を解体する際、鉄のナイフだとエッジに脂肪が付着し、 直ぐに切れなくなるが、...
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