石器石材
安住遺跡から出土の、黒曜石以外の石材、 岩石の専門家ではないので、 正式な岩石名は分からないが、実に様々な石材。 取りあえず分かっているところでは、 珪質頁岩、安山岩、チャート、メノウ、流紋岩など。 適材適所と言われるように、 ある種の石器に、適、不適の石材があるのだろうか。 切れ味から見れば、あきらかに黒曜石が優秀、 それなのに、敢えて黒曜石以外の石材でつくられている。...
View Article剥片石器
石器は大きく分けて、礫石器と剥片石器。 礫を直接打ち欠いて刃部を持つ礫石器。 礫から剥片を得て、剥片を加工した剥片石器。 代表的な礫石器がハンドアックス、そして、剥片石器が尖頭器らしい。 らしいとは、尖頭器製作に関し素人なりの疑問。 剥片石器と呼ばれる各種石器は、必ずしも剥片からつくるとは限らない。 縦長の礫、扁平な礫等、礫を直接打ち欠いて 石器をつくることは、ごく普通のこと。...
View Article擦り石
尖頭器や矢尻をつくる際、一般にほとんど知られていないが、 必ず行われる工程がエッジ部の打面調整。 この調整という用語、誰が言い出したのか分からないが、 実に意味不明な用語、分かり易く「加工」で良いと思うが。 この打面加工を行う道具が擦り石、そして、これまた曖昧な名前、 調理道具の擂り石と誤解を招く。 でも、作業の状態を表すにはしょうがないかも。 尖頭器や矢尻を薄身に仕上げるには、...
View Article石偶
邪道とは思いつつ石偶づくり、 石器づくりの延長で動物を形どってみる。 動物と言えば北海道では熊、観光土産も昔から木彫りの熊、 そこえ黒曜石とくれば、やはり熊しかないでしょう。 熊の頭部は、大きな円に小さな半円を三つ付ければ出来上がる。 先ずはラフな円形石器をつくり、 押圧で三つの半円、耳と口を割り出す。 胴体部は大型の円錐形石核、丁度、股を開き座った感じ。 胴体部に頭を接着すれば出来上がり、...
View Article加圧製石器
打撃により石を割ってつくるのが打製石器。 この打製石器の仕上げ加工の多くは押圧で行われる。 押圧とは、押圧具(多くは鹿の角先)を 打点に強く押しつけ石を割る方法。 実際のやり方は、垂直に押しつながら水平にはらうといった感じだが、 押圧とは実にうまい呼び方だと思っている。 きっと石器づくりの経験者が付けた名前に違いない。 押圧は、打製石器のほとんどに用いられる技法だというのに...
View Article黒曜石味
漆黒の黒曜石、打ち欠くと艶やかな真っ黒な面が表れる。 その割れ面は、透明感と貝殻状痕が相まって、まるで水面。 なぜか飴にも見え、思わず舐めてみたくなった。 まさか甘い訳はないが、どんな味がするのだろうか。 割った直後の、みずみずしい割れ面を舐めてみた。 小さな欠片も口に含んで味見したが、 飴と勘違い、危うく噛み砕くところだった。 その味は、甘味、塩味、酸味、辛味、苦味、そして旨味、...
View Article尖頭器
町内から出土の縄文時代の黒曜石製尖頭器、 仕上げの剥離は、見るからに荒っぽいが、 非常に薄身に仕上げられている。 尖頭器は、その器体は厚いものから 薄いものへと進化したと思っている。 この尖頭器も、切れ味を追求するあまり、 もうこれ以上、薄くは出来ないくらい薄くしてある。 思えば強度的には問題あり、直ぐに折れてしまいそう。 でも、尖頭器の機能を考えると、それでも構わない。...
View Articleナイフづくり
久しぶりに黒曜石のナイフづくり。 場所は所山工房、現地調達の黒曜石でナイフをつくる。 しばらく黒曜石を割ってなかった。 勘は鈍っていた、瞬く間に数個の原石を無駄にした。 言い訳するなら、腕でなくハンマーのせい、 ハンマーの頭の整形が済んでいなかった。 当てたつもりが、当たっていなかっただけ。 そして、それに気づくのが遅すぎた。 「打撃の失敗の原因の多くはハンマー側」を、身を以て体験。...
View Article松平義人氏
置戸安住遺跡に関する文献の中に、 昭和44年発行の考古学ジャーナル33号。 特集に「北海道の三大旧石器遺跡発見の思い出」。 筆者は松平義人氏、紹介に日本旧石器文化の隠れた発見者とある。 松平氏は、大正4年すでに置戸安住遺跡で旧石器を表採している。 その後、昭和7年には中央の考古学の権威に現物を持ち込んでいる。 しかし、昭和24年に岩宿で旧石器が発見されるまでは、...
View Article尖頭器づくり
尖頭器には、原石を直接打ち欠いてつくったものと、 剥片からつくったものの二通りがある。 しかし、両面加工の完成品の場合、 そのどちらかを判別することは、まず出来ない。 また、剥片には背面と腹面があるが、 これも、両面加工の完成品では判別できない。 いずれも、その材料の大きさを最大限に利用する。 はじめに平面の加工を行う。 平面の中心線は、材料の縦の中心線上または対角線上に置く。...
View Article細石核
細石核は、地域ごとに様々な型がある。 その型ごとの出現順序は知らないが、 一番、単純なものが置戸型細石核と呼ばれる砲弾形の細石核。 でも、単純だからと言って細石刃の剥離が簡単な訳ではない。 打面が広い分、均一幅の剥離が難しい。 細石刃の剥離が一番効率的な細石核が、 湧別技法で有名な、白滝型細石核。 両面加工の木の葉形石器を、縦に半割した細石核、 均等幅の縦長の打面は、均一幅の細石刃を量産する工夫。...
View Article打撃ガイド
石器づくりの基本中の基本、割れ円錐の理解。 打点は割れ円錐の頂点、割れは割れ円錐の外周斜面。 割れ円錐は、水平面上の打点の直下に発生する。 頂角はおよそ120度、つまり傾斜角はおよそ60度。 割れ斜面は剥片の腹面に相当する。 打点の大小、打撃圧の強弱により円錐の大きさが変わる。 大きな剥片を得ようとすることは、 大きな割れ円錐をつくることに他ならない。...
View Articleナイフの柄
ナイフに柄があるのは、 当たり前だと思っているかもしれないが、 初めから柄が着いていた訳ではない。 石器時代に発明されただろう、この柄、 もっと評価されて良いと思っている。 石器研究の分野では、柄には全く興味がないようだ。 出土の現物が少ないこともあるかもしれないが、 ナイフだけにとどまらず、槍先や銛先、矢尻だって、 柄がなければ使いものにならない。 柄は、もしかして梃子の原理、...
View Articleアスファルト
アスファルトを使って、ブレードをハンドルに固着する。 アスファルトの場合、接着と言うよりも固着。 まずは黒曜石でつくったブレードの基部に合わせて 流木のハンドルに切り込みを入れる。 次にアスファルトの欠片を缶に入れ加熱、 溶けたアスファルトを、切り込みにむらなく塗布。 少し冷めて水飴状になったアスファルトを、 ブレードの基部ですくい取り、そのまま基部に盛りつける。...
View Article所山レッド
所山86号土場、黒曜石新露頭を探しに。 今時期の山はメクラアブだらけ、メクラアブは襲ってくる。 山仕事だって「アブ休み」があるくらい。 とてもじゃないが、風のない暑い日には山には入れない。 先日は運良く小雨、新露頭を求めて林道を行く。 途中、いつもの露頭と言われている法面で石器探し。 原石の密集場所には、必ずと言っていいほど石器の破片がある。 当然だと思う、重い原石をわざわざ運び出すことはないし、...
View Article石器づくり講習会
遠軽町埋蔵文化財センターで開催の 石器づくり講習会に参加。 初日は講習会、次の日は石器づくりコンテスト。 参加者の熱気のせいか、二日とも真夏日だった。 国内有数の石器づくりの権威、国士舘大学の大沼氏、 山形県埋文センターの大場氏、そして、ロシアから ロシア科学アカデミーのE.ギリア氏、彼らの実技は圧巻だった。 ものづくり、その技量は道具を見れば分かるというが、その通りだった。...
View Article黒曜石
一般的に岩石名には「岩」が用いられているが、なぜか黒曜石は「石」。 黒曜石も本来なら黒曜岩、実際、地質関係の文献には黒曜岩と記されている。 でも、こと黒曜石に関しては圧倒的に「石」の方多い。 確かに岩のような巨大な黒曜石は見たことがない。 黒曜石の崖のようなところでも表面に岩はなく、礫が密集している感じ。 安住遺跡から出土の、長さ30cmを超えるストレートな石刃、...
View Article割れ斜面
先日の石器づくり講習会、なかで割れ円錐の誤解。 軟質ハンマーによる割れは、割れ円錐の原理ではないらしい。 その割れは、曲がりなんとかと言っていたようだが聞き逃した。 専門の研究者が言うのだから、間違いないと思うが、 経験上言えることは、軟質だろうが硬質だろうが、 割れる角度に、違いはほとんど感じない。 確かに円錐の頂点の形は異なるが、続く斜面の角度は同じ様な気がする。...
View Article黒曜石ナイフ
黒曜石のナイフが鋼鉄のナイフより優れているところ、 それは錆びないところ。数万年前の黒曜石のナイフが、 製作された当時のまま出土するのに対し、 鋼鉄のナイフは錆びてぼろぼろ、 それでも、形が分かるだけまだまし、多くはその原型を留めない。 もう一つ優れているところが、エッジに脂肪が付着しにくいところ。 ただ、このことは自分の体験例であって、 正確な比較実験の結果ではないが。...
View Article石器づくり
電気を消して灯油ランプの下で石器づくり。 石器時代、夜間に石器はつくられていたのだろうか。 もし、つくられていたとしたら焚火の傍らかも。 ということで、ランプの灯りで石器づくり。 ものづくりは手が担っていると思っていたが、 目がきかないと始まらないことに、改めて気がついた。 石器づくりのポイントは、正確な打撃。 打撃のための打点の確認は、触覚だけでは不十分、 当然、正確な打撃など出来るはずがない。...
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