黒曜石のナイフ
黒曜石のナイフが、鉄のナイフより優れているところは、 鉄のように錆びないところ。 数万年前の黒曜石のナイフが、 つくられた当時のまま出土するのに対し、 鉄のナイフは錆びてぼろぼろ、それでも、残っているだけまだまし。 地中の場合、そのほとんどが原形をとどめない。 次に優れているところが、エッジに脂肪が付着しにくいところ。 ただし、自分の数少ない解体作業の体験であって、...
View Article押圧技法
押圧、加圧と言う人もいるが、石を割る方法の一つ。 石を割る時、通常はハンマーで行うが、 押圧は、ハンマーの代わりに押圧具(多くは角先)を用いる。 さらに、通常はハンマーで打撃して石を割るが、 押圧は、押圧具を押しつけて石を割る。 不思議に思うかもしれないが、 要は石が割れるだけの圧力の加え方、 瞬間的に加圧するか、徐々に加圧するかの違い。 ただ、経験則で言えば、押圧という言い方はやや不適切。...
View Article鋸刃
鋸、そのルーツは石鋸らしい。 現物は、神戸の竹中大工道具資料館にあると聞いたことがある。 金属になった鋸の、ごく初期の形は木の葉の形、 石鋸も同じ形だったかもしれない。 もし、そうだとすると、石鋸は木の葉形の石器と同じかも。 写真も現物も、まだ見たことがないので勝手な想像だが、 石鋸が両面調整の木の葉形の石器と同じだとしたら面白い。 石器のエッジは、波刃をジグザクに配置したような形だが、...
View Article熱処理
鍛造ナイフの最たるものがダマスカス鋼のナイフ。 地肌の独特の文様は一つとして同じものがない。 本格的な鍛造はしたことがないが、真似事は何度か。 鉄は熱いうちに打てではなく、赤いうちに打てだった。 鍛造で大切なことは温度管理、焼き入れ、焼き戻し、 焼き鈍し、すべて温度と時間のコントロール。 焼き入れは急冷、真っ赤な鉄を急激に冷ますと鋼になる。...
View Article星糞
国内有数の黒曜石産地、長野県和田峠の黒曜石。 手に入れた、この黒曜石がすべてでは無いと思うが、 和田峠産の黒曜石の特徴に透明感、 見た感じ置戸所山産黒曜石以上の透明感。 長野では、この黒曜石を星糞と呼んでいる。 いくらなんでも糞とは、黒の間違いではないのだろうか。 輝くから星、黒く輝くから黒耀石のはずが、 どこでどうなったのか、星の糞。 無味、無臭だろうが、拾おうとすると気になる。...
View Articleストーンハンマー
大きな礫からの剥片取りは、 どちらかと言うとストーンハンマーが適している。 ストーンハンマーは握り易さで選ぶ、 もちろん大事なのは重量だが、その重量は礫の大きさで変える。 握り易い石だと、ほとんどが円形や楕円形の石、 経験則で言えば、扁平な楕円形のものがベスト。 博物館の展示などで良く見かける短い棒状のものは、 ハンマーというよりパンチの部類ではないだろうか。...
View Articleナイフの錆
愛用のランドールナイフが、また錆び付いてしまった。 用心してシースから抜いて、シリコンオイルを塗ってあったのに。 ここ数年は黒曜石のナイフに隠れて出番無し、 まったく使っていなかった。 以前はヒルトに緑青、布で擦れば簡単に落ちたが、 今回はブレードに本格的な錆、 さすが鍛造の鋼材、その錆の色は黒色。 よく見るとエッジにも錆、これは研げばなんとかなる。...
View Articleハンドルの紐
つまみ付きの石器がある。 つまみは、おそらく紐を結ぶところだと思うが、 この紐の用途が今ひとつわからない。 現代のナイフにもハンドルに紐を通したものがあるが、 その紐は、いったい何のためにあるのだろうか。 石器の場合、首に下げるためのものという説もあるが、 首に下げる理由が思いつかない。 試しに同様のものをつくって使ってみる。 結果、一つの可能性として、 作業中に両手を使わなければならない時、...
View Article押圧機
所山工房の雪解けも随分進み、集めておいた黒曜石が顔を出した。 来週あたりから、石器づくりを始めるつもり。 今日は、シラカバの風倒木処理。 途中で折れているものは根元から伐倒、全部玉切って薪にする。 先週目にした手動薪割り機、外のパイプの先にクサビ、 中のシャフトを上下させクサビを打ち込む。 斧と違って、刃先を確実にコントロールできる。 以前、この薪割り機と同じ原理の押圧道具を考案したことがある。...
View Article矢毒
アイヌは獲物を確実に仕留めるために、 毒を塗った矢尻を用いた。 矢尻は根曲がり竹製、内側の窪みに毒が盛られた。 毒はトリカブトの根をすり潰したもの。 実際に見たことが無いので、どんな状態のものか分からないが、 おそらくペースト状のものだろう。 一説には、毒を持った昆虫なども混ぜたようだ。 トリカブトは、春に紫色の美しい花を咲かせるが、 その美しさとは裏腹に、猛毒をもつ植物として知られている。...
View Articleブレード
石核から剥離した幅が均一で 平行な峰を持つ板状の剥片を、ブレードと呼んでいる。 小さなものは容易に再現できるが、安住遺跡出土の 30cmを超える長大なブレードは、未だ再現ができない。 この湾曲のない小幅板のようなブレードの剥離は、 器体の均質化と製作の効率化が目的だったのかもしれない。 これまでの経験から、その多くはパンチを用いた 間接打撃で剥離したものと思っている。...
View Articleアスファルト
最初は眉唾ものだったアスファルトの利用、 実際に使用痕のある矢尻を見ても半信半疑、 ところが自分で使ってみて、ようやく納得。 アスファルトの固着力は、予想を遥かに超える。 アスファルトと言えば国内でも、ごく限られたところしか産出しない。 従って、全国どこでも使用されたとは思えないが、 黒曜石の例が示すとおり、貴重なものほど、 産地から遠くに普及するということも有り得る。...
View Article弓矢
雪で折れたオンコ(イチイ)の枝に、弓に丁度いい材が見つかった。 以前つくった弓より節も少なく素性も良い。 ちなみに原始的な弓は丸弓、芯持ちの細い木や枝が最適。 弦はニレの木の樹皮、いわゆるアツシ。 本当は、鹿の腱と行きたいところだが、弦にするまでが面倒。 一緒に矢も製作、アイヌの矢に似せて長い中子のついた二段式。 矢尻は無茎のハート形、装着は中子の先に挟み込む。...
View Article鹿角ハンドル
久しぶりに鹿角でナイフのハンドルをつくった。 落ち角で表面が風化、角先がネズミにかじられている。 ハンドルには、握って丁度の太さのところを使う。 なんと言ってもハンドルは、握り心地が一番大事。 ハンドルの長さは、なぜか適当に切っても ほとんど同じ長さに仕上がるから不思議、 握った手が自然と長さを決めている。 ハンドルの長さは、ブレードの長さとは無関係、あくまで手との関係。...
View Article石器素材
黒曜石ばかりで石器をつくっていると 無いものねだりで、他の石材で石器をつくりたくなる。 置戸は黒曜石原産地だけに、石器の適材黒曜石は豊富。 また、頁岩こそ無いが安山岩も普通に産出する。 町内の遺跡からは、当然黒曜石の石器が大量に出土するが、 何故か黒曜石や安山岩に混じって、頁岩の石器も出土する。 頁岩の場合、明らかに町外から持ち込まれたもの、 石器の適材、黒曜石の原産地へわざわざ。...
View Articleオンネアンズ川
置戸安住遺跡のすぐ側を流れるオンネアンズ川。 川には4、5ヶ所に砂防堰があるが、 すべてに魚道が設置されている。 面白いことに、その魚道は、すべて異なる方式。 オンネアンジ(ズ)とは、アイヌ語で大なる黒曜石という意味。 他に大・黒曜石川という解釈もあるが、 川自体から産出する黒曜石は、ほんの僅か。 その僅かな黒曜石は、安住遺跡から約1km上流の沢から 流入している所山産の黒曜石。...
View Article原産地遺跡
長く、町内の黒曜石原産地遺跡周辺の 表採を続けているが、未だ理解できないことがある。 その一つ二つを勝手に解釈。 一つは、遺跡に残されている完成品や半製品の謎、 なぜ持ち出されることがなかったのか。 それは、石器の産地だったから、産地なので 原材料から、部品、完成品が揃っていて当たり前。 もう一つ、黒曜石の原産地なのに、 なぜ黒曜石以外の石材を用いるのか。...
View Article鹿角
例年、今時期はエゾシカの落角探し、 残念ながら今年は仕事で、その暇がない。 石器づくりのハンマーには、エゾシカの角が最適。 旧石器時代に、シカが生息していたかどうか、 また、石器づくりに角を用いたかどうか知らないが、 現代の石器づくりにおいて、鹿角のハンマーは必需品。 いったい何処の誰が、何時から使い始めたのだろうか。 自分の場合は、参考図書から教わった。 海外には、出土の実物があるらしいが、...
View Article熊の頭骨
土に埋めておいた熊の頭、熊に持って行かれた。 熊のボーントロフィをつくろうと、 所山工房脇に埋めておいた熊の頭。 前回は狐に荒らされたので、 今度はしっかりと大きな石で重しをかっていたのに。 重しは熊には軽かったようで、簡単に掘り返された。 食べるために掘り返したようだが、 さすがに毛は食べないようで、穴の周りは毛だらけ。 やはり、腐敗は進んでいなかったみたい。...
View Article黒曜石のナイフ
自作の黒曜石のナイフ、つくり過ぎ。 黒曜石のナイフの基本的な用途は、 やはり動物の解体用かもしれない。 狩猟用では、槍や銛にはかなわない。 黒曜石のナイフで、エゾシカの解体は実施済み、 黒曜石の切れ味を、しっかり確認した。 残念ながらヒグマやトド、アザラシは未体験、 機会があれば是非とも試してみたいところ。 いずれにしても、切れ味は分かっているので、 今度は切れ味を楽しむことを第一に。...
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