シラカバのシース
シラカバの樹皮でシースをつくる。 黒曜石のナイフには、やはり自然素材のシースがよく似合う。 一般的には動物の革だが、残念ながら流木のハンドルには似合わない。 シースは、鋭利な刃から体を保護するためのもの、 ナイフには無くてはならない必需品。 ブレードがカバーできれば、素材はなんでも良いが、 見た目とハンドルとの調和が大事。 鹿角のハンドルであれば、革でも良いが、...
View Article鹿角ハンマー
黒曜石の石器づくりは、慣れてくると 鹿角ハンマー1本で用足りる。 鹿角ハンマーは、木のハンマーより硬く、 石のハンマーより軟らかいというところが丁度良い。 角は、落角、生角どちらでも良いが、重い方が効率がいい。 ただ、生角は髄が残り、いつまでも生臭い。 ハンマーの頭は、角の付け根の角座を使うが、 角座でなければだめと言う訳ではない。 以前、鹿角節約タイプのトンカチ型のハンマーをつくったが、...
View Article石偶
石偶と言うので石器では無いのだろうが、 つくりは石器のつくり、でも刃物でないことは確か。 その形は人の形だったり動物や鳥の形、用途は不明。 ただ、イヌイットの子どものおもちゃに、同じものがある。 石器づくりの合間に石偶の真似ごと、 黒曜石で熊のマスクをつくる。 邪道だと分かっているが止められない。 黒曜石で径5、6cmの円形石器をつくり、 円周を三等分、押圧で耳と口の突起をつくる。...
View Article接着剤
黒曜石のナイフのハンドルとブレードの接着には アスファルトを使っている。 天然ものは不純物が多く、硬化しても脆く強度的に問題、 今使っているのは、舗装用の精製したもの。 アスファルトは、パテ状の瞬間接着剤と言ったところ、 作業性が非常に良く、そして、経年劣化の無い優れもの。 唯一欠点は、常温以上で軟化すること、炎天下での使用は要注意。 他に松脂と膠も試してみたが、それぞれ問題が未解決。...
View Articleアトラトル
「アトラトル」、和訳では「投槍器」、 でも実際には、投げるのは槍ではなく大きな「矢」。 使うところは、確かに槍投げのようだが、槍を投げるには無理がある。 大きな「矢」の特徴は、何たって矢尻、弓矢の矢尻とは大きさが違う、 おそらく有茎尖頭器と呼ばれる石器が、アトラトルの矢尻。 アトラトルは単純な構造で、つくるのは簡単。 4、50cmの木の棒に端に、矢柄の元の引っかかりをつくるだけ。...
View Articleサヌカイト
旅行で二上山近くに来ている。 予定通り奈良の大仏を見に行くか、安山岩(サヌカイト)を拾いに行くか、 迷っているところに台風。ここは安山岩を諦め、 間をとって橿原考古学研究所の博物館でも覗いてみよう。 黒曜石ばかりで石器をつくっていると、 無い物ねだりで、他の石材で石器をつくりたくなる。 安山岩は町内でも簡単に採取できるが、やはり本場ものでつくってみたい。...
View Articleフリント
奈良行きもキャンセル、台風18号の被害は甚大。 安山岩がダメなら下呂石という手もあるが、台風の影響は同じ。 おとなしく家に帰って、本州産石材の代わりにフリントで石器をつくることにしよう。 フリントは、頁岩とチャートとメノウを足して2で割ったような材質。 感じ、石器の石材としては一番硬い。 剥片取りは、鹿角のハンマーでは歯が立たない。 使用しているフリントは、エジプト産の河原の転石、...
View Article登山道
久しぶりの登山、目的は登頂ではなくコケモモ採り、 今回は、頂上目前9合目から引き返す。 せっかくなので頂上まで行けばよいものを、 ここは、当初の予定どおりコケモモ採りの往復。 今年は、山の木の実の豊作年、 コケモモも、いつもなら赤いところが完熟の紫。 実の採集は北方民族に習い、採集具を手づくり、 これが抜群の効果、下山の足と腰に負担がかかる。 もう一つの目的は、黒曜石のナイフのハンドル材の収集。...
View Article鹿角
石器づくりのハンマーには鹿の角が最適。 鹿猟の行われている町内では、鹿の角は簡単に手に入る。 でも、商品として流通している訳ではないので、入手ルートは限られる。 一番簡単なのが、ハンターから生角をもらってくる。 次いで、酪農家から牧草畑の落角をもらってくる。つまり買う事はない。 道内では、観光地の土産店で売っている。 知床、阿寒では確実に入手できる。 最近は、取り扱う店が増えたような気がするが、...
View Article石器づくり
石器づくりのコツ、強いてあげれば「正確な打撃」。 石器づくりは、言い換えると石割り作業。 石は外部から強い衝撃を与えると割れる。 この衝撃をコントロールすることが石器づくり。 石の割れは打点の大小、打撃の強弱、打撃の角度により変化する。 重要なことは、その割れの条件のほとんどがハンマー側にあること。 もちろん石の材質も、少なからず影響するが、 石が上手く割れない原因の多くは、ハンマー側にある。...
View Article打撃痕
直接打撃と押圧では、その打撃痕は異なるという。 また、硬質、軟質ハンマーでも異なるという。 叩き方が違うので、その通りなのかもしれないが、 観察力が無いのか、顕微鏡レベルなのか、 未だに、その違いを見分けることが出来ない。 細石刃剥離の場合、直接だろうが押圧だろうが どちらでも同じ様な打撃痕に、同じような細石刃、 打撃痕のどこがどう違うのか分からない。...
View Article熱処理
頁岩やチャートなど硬い石は、加熱処理すると割り易くなるという。 そこまでしなくても、割れるはずだが 実際に出土の遺物があるらしいので、 それなりの理由があったのだろうが、何だろう。 さらに疑問は黒曜石の熱処理、本当だろうか。 熱の影響を受けた痕跡のある黒曜石の石器、なら理解できるが、 割り易い黒曜石を熱処理するなんて、ありえないと思っていたが 熱処理は、石器を強化するために行われたとあった。...
View Article倒木
台風26号は、季節外れの大雪をもたらした。 その被害は甚大、最たるものは長時間の停電。 停電の原因は、暴風雪による倒木、 倒木で送電線が断線、さらに、作業道が倒木で寸断、 復旧作業は倒木処理から、通電が大幅に遅れることに。 落葉前の木に暴風雪、至る所で倒木、特にシラカバ林は悲惨。 所山工房の森も被害、危うく物置が潰されるところだった。 ストローブの大木が物置の軒をかすめ、...
View Article石刃鏃
石刃鏃は、おそらく矢尻の最新型だと思うが、 腑に落ちないのは、返しの無い構造。 矢の殺傷力は、獲物の体内に留まってこそ発揮される。 つまり、矢尻は刺さったら抜けないようになっている。 ところが石刃鏃は、まるでペン先のような形。 返しがなく細くストレートな形は、貫通力を優先したかのよう。 対象の獲物は、いったい何だったのだろうか、 本当は矢尻ではなかったりして。...
View Article所山産黒曜石
久しぶりに石器づくりの手ほどき。 相手は、釧路市立博物館の関係者ご一行。 黒曜石原産地、所山見学のガイド役を受けたつもりだったが、 先日の台風による倒木被害のため、入林困難、 急遽、石器づくり見学に予定を変更したらしい。 準備なしの場当たり説明、理解できただろうか。 石器づくりは、一に、割れ円錐の理解、 二に、ハンマーの仕立て、三に、正確な打撃。 それにしても所山産黒曜石には感心する。...
View Articleシース
石のナイフのシースに、皮革を使うことはほとんどない。 シースの多くは、樹皮でつくっている。 なかでも、もっぱらシラカバの樹皮を使っている。 色合いも表の白、裏の茶、どちらも美しく、 また、入手、加工も容易で一番気に入っている。 樹皮の使用が多いのは、ハンドルが木製だから、 天然素材には天然素材、同質のものが良く似合う。 まだつくってはいないが、蔓や草で編んだシースも良いかも。...
View Article押圧技法
黒曜石の石器は、黒曜石を割ってつくる。 この当たり前のことが、意外と知られていない。 打製石器と呼ばれているが、 割ってつくるところまでは、連想できないようだ。 割ってつくることを知らない人は、 例外無く、削ってつくられたと思っている。 確かに割ったことのない人には、見ただけでは分からない。 でも、同じ石の割り方でも、押圧技法という 叩かずに押し付ける圧力で割る方法がある。...
View Article使用痕
石器づくりの限界、それは実用の機会が無いこと。 本来、道具とは使う目的があってつくるもの。 その形も素材も用途があって、はじめて決まるもの、 今つくっている石器は、残念ながら使う必要性のない ところからつくり始めている。 いくら実用にこだわってみても、精肉や鮮魚しか相手に出来ない。 大昔、石器はどのように使われていたのだろうか。 確実なものは、骨に刺さっていた矢尻くらい。...
View Article長いブレード
黒曜石の長いブレードのナイフをつくろうと思っている。 でも、相変わらず短いブレードのナイフしか作れない。 短いブレードはどう見ても寸詰まり、ハンドルの方が長い。 でも、これはこれでブレードの強度が増して実用的。 黒曜石の長いブレードは、衝撃に弱い。 出土の石器でも、長いものはほとんどが折れている。 実際に、ナイフを使って見れば分かることだが、 切るだけであれば、長いブレードは必要ない。...
View Article薪割り
冬を目の前に、所山工房の薪づくり。 材料は、先の台風による風倒木、 枝払い、玉切りまでは済んでいる。 これを一カ所に集めるのが大仕事、 それこそネコの助けを借り、行ったり来たり。 薪割り台は倒木の切り株、その切り株に 古タイヤを乗せ、タイヤの中に丸太を置く。 薪割りのコツを一つ二つ、まず専用の斧を使うこと。 断面が幅広の楔状で重いものが望ましい。 丸太は元から割る、いわゆる順目、...
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